ETERNAL RETURN を見てきた

先週末、「コスモプラネタリウム渋谷」でプラネタリウム番組「ETERNAL RETURN-いのちを継ぐもの-」を見てきました。
これはすごいわ……


話の筋は、少女「はるか」が祖父から宇宙の話を聞いているというものです。
ただ、その話の内容が濃ゆい濃ゆい。
ビッグバン直後のインフレーション状態、そして宇宙の晴れ上がりから地球での生命の発生までが最新の理論に従って語られます。
しかも、映像の一つ一つが非常に細かいところまで気を遣って描き込まれています。

たとえば原子といえば原子核の周りを電子が円軌道を描いて回っている図を思い浮かべますが、「ETERNAL RETURN」ではぼやっとした球体で表現されています。これは分子雲を表しているんですね。
実際の原子では電子という粒子が原子核の周り決まった軌道で飛び回っているのではなく、波動関数に従って確率論的に存在することがわかっています。
この辺は量子力学の世界なんですが、上記を図示するとぼやっとした球体になるんです。

他にも宇宙開闢の頃は水素、ヘリウム、リチウムの三種類の元素しかなかったのが周期表で示されています。
これは星が生まれて光り始めると一気に増えるんですが、この時点では26番の鉄までしか示されません。これも、恒星内部での核融合反応の知見通りです。
そして超新星爆発が起こると、周期表が完全に埋まります。
まさしく、すべての元素は星から生まれたことが示されていますね。

それこそシーンの一つ一つが科学的に見てきっちりと描き込まれていますが、監修者を見ればむべなるかな。
国立天文台海洋研究開発機構情報通信研究機構千葉大学真菌医学研究センター、高エネルギー加速器研究機構といった研究機関から、総勢6名が参加しています。
これ、監修者の方々からそれぞれのシーンの思惑について解説付きで見れたら、スゲー楽しいだろうな……


作品のタイトルはメッセージ性の強いものですが、精神論を振りかざしている部分は一切なく、宇宙論の教育素材としても非常にいい作品ではないかと思います。

現在は「コスモプラネタリウム渋谷」でのみの上映ですが、9月8日からは「府中郷土の森博物館」でも上映されることになっています。