建築業界の業務は恐ろしく細分化されている

建築業界ってのは業務がえらい細分化されてまして、そのそれぞれに職人さんがいます。
たとえば保冷倉庫(倉庫本体と空調機だけの簡単な構造)を造る場合、内装だけに限っても大工、コンクリ屋(室内機を据え付ける基礎を作る)、軽天屋(軽量鉄骨で天井を貼る)、吹き付け屋(天井や壁に断熱材のウレタンを吹き付ける)、板金屋(室内機の保護フェンスを作るなど)などに声をかけることになります。
構造や外装も含めたら、そりゃもう、かなりの数の職人さんが出入りすることになるわけです。
そうそう、大工と型枠大工(コンクリートの型枠を作る)とは別の職種だと聞かされたときは驚きましたね。

んでそれぞれの職種ごとに担当範囲がきっちりと決められていまして、自らの判断でそれを逸脱することは絶対にありません。
それこそゴミ処理一つとっても、他の職人さんが出したゴミには一切手を触れないんです。
フォークリフトを動かすにもわざわざゴミを避けて走りますから、実に徹底しています。
まぁ工事監督さんからの指示があれば業務外のこと、たとえば電気屋さんがウレタンの補修をするようなこともやってくれますが。


これをプログラム業界に当てはめると、たとえばデータグリッドビューの職人さんはビジネスロジックはおろか、フォームにボタンを配置することすらしないくらいの勢いです。
ンなコトされたら、プログラム業界では仕事になるわけがありません。

ただし徹底的に業務が細分化されている建築業界でも宮大工だけは特殊な存在で、丸太を製材し、建築、内装に至るまでの全てを一手に引き受けます。
現在のプログラマーは、宮大工に近い存在かもしれませんね。


ところが建築業界の業務細分化も、プログラム業界が参考にすべき点があります。
たとえば吹き付け屋のウレタン調合は、電気屋の配線に影響しません。
これはそれぞれのインターフェースが確立されており、クラス間での相互作用が徹底的に排除されていると見なすことができるのではないでしょうか。

最初は宮大工しかいなかった建築業界が1000年の時を経て現在の形に進化したとすると、プログラム業界の目指す道はコンポーネントをポトペタで組み合わせるラピッドプログラミングでしょうか。
まぁ、これがおもしろいかと問われると微妙ですけどね。
私はできることなら「宮大工」のままでいたいところですが、いずれ現れる「ぽとぺた職人」は「宮大工」の想像外のスキルを極めているのかもしれません。